AGA治療薬の年齢制限、フィナステリドとデュタステリド
AGA(男性型脱毛症)治療の代表的な内服薬である「フィナステリド(商品名:プロペシアなど)」と「デュタステリド(商品名:ザガーロなど)」は、その効果が科学的に認められていますが、服用にあたっては年齢に関する注意点があります。これらの薬剤は、AGAの原因となるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制することで効果を発揮しますが、男性ホルモンに作用する薬であるため、特に若い世代への使用には慎重な判断が求められます。まず、フィナステリドとデュタステリドは、原則として20歳以上の成人男性に対して処方されます。これは、これらの薬剤の臨床試験が主に成人男性を対象に行われており、未成年者に対する有効性や安全性が十分に確立されていないためです。また、未成年者は体がまだ成長段階にあり、ホルモンバランスも不安定な時期であるため、これらの薬剤が成長や発達に予期せぬ影響を与える可能性も考慮されています。日本皮膚科学会のAGA診療ガイドラインにおいても、フィナステリドおよびデュタステリドの未成年者への投与は推奨されていません。したがって、10代でAGAの症状が見られる場合でも、これらの内服薬による治療は、医師がリスクとベネフィットを慎重に比較検討した上で、例外的なケースを除いては行われないのが一般的です。一方、これらの薬剤に年齢の「上限」は特に設けられていません。高齢者であっても、医師の診断のもとで、健康状態や他の薬剤との併用などを考慮した上で処方されることがあります。ただし、高齢者の場合は、若い人に比べて副作用が現れやすい可能性もあるため、より慎重な経過観察が必要となります。フィナステリドやデュタステリドによるAGA治療を検討する際は、年齢に関わらず、必ず専門医の診察を受け、適切な診断と処方を受けることが重要です。自己判断での個人輸入などによる服用は、深刻な健康被害を引き起こすリスクがあるため、絶対に避けるべきです。