薄毛のタイプで対処法はこんなに違う

2020年6月
  • 髪の成長を促す亜鉛のメカニズム!ケラチン合成と細胞分裂

    AGA

    亜鉛が髪の健康に良いとされる背景には、その具体的な作用メカニズムが深く関わっています。特に、髪の主成分である「ケラチン」の合成と、新しい髪を作り出す「細胞分裂」の促進という2つの点で、亜鉛は髪の成長に不可欠な役割を果たしています。まず、ケラチン合成についてです。髪の毛の約80~90%は、18種類のアミノ酸が結合してできたケラチンという硬タンパク質で構成されています。食事から摂取したタンパク質は、体内でアミノ酸に分解され、その後、再び結合してケラチンへと再合成されます。このアミノ酸をケラチンタンパク質に再合成する過程で、亜鉛は酵素の補因子として働き、タンパク質の合成をスムーズに進めるために必要不可欠なのです。もし亜鉛が不足すると、このケラチンの合成が滞ってしまい、結果として髪の毛が十分に作られなかったり、細く弱々しい髪になってしまったりする可能性があります。次に、細胞分裂の促進についてです。髪の毛は、毛根の最も奥にある毛球部の毛母細胞が分裂を繰り返すことによって成長します。毛母細胞は、体の中でも特に細胞分裂が活発な細胞の一つであり、この活発な細胞分裂を維持するためには、亜鉛が重要な役割を果たします。亜鉛は、DNAやRNAといった核酸の合成に関与する多くの酵素の構成成分であり、細胞が分裂・増殖する際に必要となるこれらの核酸の合成をサポートします。したがって、亜鉛が不足すると、毛母細胞の分裂が滞り、新しい髪の毛の成長が遅れたり、休止期に入る髪の毛が増えたりして、薄毛や抜け毛の原因となることがあります。このように、亜鉛は髪の材料となるケラチンの合成を助け、新しい髪を作り出す毛母細胞の分裂を促すという、髪の成長における根幹部分に深く関わっているのです。健やかな髪を育むためには、亜鉛を食事やサプリメントから適切に摂取し、これらのメカニズムを正常に働かせることが重要です。

  • AGA治療の開始年齢、早い方が効果的?

    AGA

    AGA(男性型脱毛症)は進行性の脱毛症であるため、「治療を始めるなら、できるだけ早い方が効果的なのか?」という疑問を持つ方は多いでしょう。結論から言うと、一般的にAGA治療は早期に開始するほど、より良い効果が期待でき、薄毛の進行を効果的に抑制できると考えられています。その理由はいくつかあります。まず、AGAは放置しておくと徐々に薄毛が進行し、毛根の機能が低下していきます。毛根が完全に活動を停止し、髪の毛を作り出す能力を失ってしまった状態(いわゆる「死滅」した状態)になると、いくら治療を行っても、その毛根から再び髪の毛を生やすことは非常に難しくなります。つまり、治療の開始が遅れれば遅れるほど、改善の余地が少なくなり、治療効果も限定的になってしまう可能性が高いのです。早期に治療を開始することで、まだ毛根が活発に活動している状態のうちに、AGAの原因となるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制したり、毛母細胞を活性化させたりといった対策を講じることができます。これにより、薄毛の進行を効果的に食い止め、現状を維持したり、あるいはある程度の発毛を促したりすることが期待できます。また、薄毛の範囲が狭く、症状が軽いうちに治療を始めれば、治療にかかる期間や費用も抑えられる可能性があります。進行が進んでから治療を開始する場合に比べ、より少ない負担で効果を実感できるかもしれません。AGAの初期症状としては、抜け毛の増加(特に細く短い毛が増える)、髪のハリやコシがなくなる、生え際の後退(M字部分など)、頭頂部(つむじ周辺)の地肌が透けて見える、といったものが挙げられます。これらのサインに気づいたら、「まだ大丈夫だろう」と自己判断せずに、できるだけ早く皮膚科やAGA専門クリニックを受診し、医師の診断を受けることを強くお勧めします。年齢に関わらず、早期発見・早期治療が、AGAと上手に付き合っていくための最も重要な鍵となるのです。