プロペシアの薬価は決して安くはないため、少しでも費用を抑えようと、「用量の多い錠剤をピルカッターなどで分割して飲めば、コストを節約できるのではないか」と考える人がいるかもしれません。特に、海外から個人輸入した高用量のフィナステリド製剤を分割して服用する、といった話がインターネット上では見受けられます。しかし、この行為は、効果の面でも安全性の面でも、極めて危険であり、絶対にやってはいけません。プロペシアの錠剤を割ったり、砕いたりすることが禁止されているのには、明確な理由があります。まず第一に、「有効成分の均一性が保証されない」ためです。錠剤は、有効成分が錠剤全体に均一に分布するように作られているとは限りません。そのため、半分に割ったとしても、それぞれの破片に有効成分が正確に半分ずつ含まれている保証は全くないのです。ある日は有効成分が多すぎ、次の日は少なすぎるといったように、毎日の摂取量が不安定になり、安定した血中濃度を保つことができなくなります。これでは、薬本来の効果を十分に発揮することはできません。第二に、そしてより深刻なのが「安全性」の問題です。プロペシアの錠剤は、有効成分であるフィナステリドが外部に飛散しないように、表面がコーティングされています。もし錠剤を割ったり砕いたりすると、このコーティングが破壊され、フィナステリドの粉末が空気中に飛散する可能性があります。フィナステリドは、男性胎児の生殖器の正常な発育に影響を及ぼす恐れがあるため、特に妊娠中の女性や、妊娠の可能性がある女性が、この粉末に触れたり、吸い込んだりすることは極めて危険です。また、錠剤がコーティングされているのは、有効成分を胃酸から守り、腸で適切に吸収されるように設計されているためでもあります。コーティングを破壊すると、薬の吸収効率が変わり、予期せぬ副作用を引き起こす可能性も否定できません。処方された薬は、その形状や用法・用量も含めて、効果と安全性が計算され尽くしたものです。費用を節約したいという気持ちは分かりますが、自己判断で錠剤を分割・粉砕する行為は、百害あって一利なしです。安全に、そして確実に効果を得るためにも、必ず医師から処方された錠剤を、そのままの形で服用するようにしてください。
プロペシアを割って飲むのはNG!分割・粉砕が危険な理由