僕が自分の髪に異変を感じ始めたのは、20代後半のことでした。仕事の忙しさを理由に、食事はコンビニ弁当やカップラーメンで済ませることが多く、食生活は乱れきっていました。そんなある日、シャワーの後の排水溝に溜まる髪の毛の量を見て、愕然としたのです。まだ若いのに、このままではマズい。そう思った僕は、インターネットで情報を漁り始めました。育毛剤、シャンプー、マッサージ…様々な情報が溢れる中、僕の目に留まったのが「亜鉛」というキーワードでした。「髪の毛の主成分はタンパク質だが、それを髪に変えるには亜鉛が必要」。その一文に、僕はハッとさせられました。当時の僕は、タンパク質さえ摂っていれば良いと考え、プロテインを飲むことはあっても、他の栄養素のことなど全く気にしていなかったのです。自分の食生活を振り返ると、亜鉛が豊富に含まれるという牡蠣やレバー、牛肉などを、ほとんど口にしていないことに気づきました。もしかしたら、僕の抜け毛の原因は、この栄養不足にあるのかもしれない。そう考えた僕は、すぐに二つのことを始めました。一つは、食生活の改善です。週に数回は自炊をし、赤身の肉や卵、納豆などを意識的に食べるようにしました。そしてもう一つが、サプリメントによる亜鉛の摂取です。食事だけでは十分に補えない分を、サプリで補うことにしたのです。飲み始めてすぐに髪が生えてくるような奇跡は起こりませんでした。しかし、一ヶ月ほど経った頃、まず体に変化が現れました。朝の目覚めが良くなり、肌の調子も心なしか改善したのです。そして三ヶ月が過ぎる頃、僕は確かな変化を髪に感じました。シャワー後の抜け毛が、明らかに減っていたのです。そして、以前は細く力なかった髪に、少しだけハリとコシが戻ってきたような手応えがありました。亜鉛の摂取は、僕にとって、単なる抜け毛対策ではありませんでした。それは、自分の体と真剣に向き合い、生活そのものを見直すきっかけとなった、大きな転機だったのです。
抜け毛に悩んだ僕が亜鉛と出会って変わったこと